230 在外子会社連結持分一部売却処理(その他の包括利益累計額有)の理解
こんばんは。
本日は在外子会社の連結について学習しました。
範囲は資本連結の一部売却までです。
クレアールのテキストでは、その他有価証券評価差額金のある連結持分一部売却についての記載はありませんでしたが、在外子会社の一部売却における為替換算調整勘定の取扱という形で、同様の処理が記載されていました。
為替勘定調整勘定は連結会計においてBS簿価のCR換算で出てくる純資産項目ですが、この取り扱いについては、「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」の42頁に記載されている処理をすることになります。
ここで、重要なのは、昨日のその他有価証券評価差額金のある連結持分の一部売却と同様、親会社と子会社の支配が継続する場合、売却した株式に対応する持分には、子会社に係るその他の包括利益累計額(その他有価証券評価差額金、退職給付に係る調整類型額など)が含まれるが、売却持分(売却による親会社の持分の減少額)には、その他の包括理系類型額が含まれないという点です。
そして、この処理に伴って減少したその他包括利益類型額については、当期純利益を構成するものではないため、利益の実現による組替調整の対象とはならず、連結株主資本等変動計算書における当連結会計年度の増減として表示することになるという点です。(連結持分の売却は関係株式売却益を資本剰余金として振り替えるため、当期純利益を構成しないので、組み換え調整にはならない、ということでしょう。)
この連結持分の一部売却に係る処理については、
個別上、FSでは株式と対価との差額が売却損益として計上されているところ、
連結上、FSにおいて連結上の持分と対価との差額に修正する必要があることから、私の頭の中では、以下のように理解しました。
例えば、連結持分20%売却、個別上の仕訳が
現金預金108000 S社株式35000
関係株式売却損益73000
の場合において、連結上の当期末の純資産項目が
資本金100000
剰余金203000
評価差額24000
為替換算調整勘定37800
合計364800の場合、
売却した株式に対応する持分は364800×20%=72960となるが、
連結上親会社の持分の減少額はその他包括利益累計額を含んではいけないため、為替換算調整勘定37800の20%に相当する7560を親会社の減少持分から減額することになる。
そのため、連結上、親会社の売却持分相当額は72960-7560=65400となり、連結上売却価額(108000)との差額は資本剰余金とするため、資本剰余金が42600となる。
また、為替換算調整勘定については、持分減少割合相当額を取り崩して、非支配株主持分に振り替えることになる。
以上より、在外子会社の一部売却における連結上あるべき仕訳は、
現金預金108000 非支配株主持分65400(※連結上の売却持分)
資本剰余金 42600
為替換算調整勘定7560 非支配株主持分7560
のような形になる。
これをもとに、個別上の仕分けを修正すると
S株 35000※ 非支配株主持分72960
為替換算調整勘定7560 資本剰余金42600
関係株式売却益73000
となる。※S株は子会社株式なのでHR換算のまま。
上記の仕訳について、包括利益のない連結上の一部売却の仕分けと比較する連結上の一部売却と比較すると、包括利益のある一部売却の論点では、為替換算調整勘定等包括利益の売却持分相当額の分だけ、連結上は売却利益が減るため、資本剰余金勘定が減少していることになる。